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こんにちは。四天王寺南門前にある透析クリニック、医療法人慈洋会赤垣クリニック院長、赤垣洋二です。当院では、バスキュラーアクセスに特化した各医療機関と連携し有事の際は迅速に対応できる体制を整えております。
透析の基礎知識シリーズ:透析治療の総合ガイド第3回目は【バスキュラーアクセスの管理】についてです。
1. バスキュラーアクセスとは
バスキュラーアクセスは、透析治療を行うために必要な「血管へのアクセス口」です。血液透析を継続して行うために、最も重要な役割を果たします。
バスキュラーアクセスの種類:
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内シャント(AVF)
- 動脈と静脈を直接つないで作製
- 最も一般的で長期使用に適している
- 感染のリスクが最も低い
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人工血管シャント(AVG)
- 人工血管を使用して動脈と静脈をつなぐ
- 自己血管が使用できない場合の選択肢
- 内シャントより感染リスクがやや高い
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カテーテル
- 緊急時や一時的な使用
- 大きな静脈に直接カテーテルを挿入
- 感染リスクが最も高い
2. 日常生活での管理
基本的な注意事項:
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シャント肢の保護
- 腕時計や装飾品による圧迫を避ける
- きつい服装を避ける
- シャント側で寝ない
- 重い物を持たない
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清潔保持
- 毎日のシャント部の洗浄
- 入浴時の保護
- 傷をつけない
- 清潔な衣類の着用
3. シャントの観察方法
毎日のチェックポイント:
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シャント音(スリル)
- 1日1回以上触診で確認
- 朝晩の確認が望ましい
- 変化があれば即報告
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外観
- 発赤
- 腫れ
- 出血
- 皮膚の変色
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触診
- 熱感の有無
- 痛みの有無
- 硬さの変化
4. 異常の早期発見
以下の症状が出たら要注意:
・シャント音が弱くなる、消失 ・シャント部の腫れや痛み ・シャント肢の冷感やしびれ ・出血が止まりにくい ・皮膚の発赤や熱感 ・シャント部の硬さの変化
※これらの症状が出現したら、すぐに医療機関に連絡してください。
5. シャントトラブルの予防
予防のための具体的行動:
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血圧管理
- 定期的な血圧測定
- 適切な降圧薬の服用
- 急激な血圧低下を防ぐ
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血液粘度の管理
- 適切な水分摂取
- 過度の脱水を避ける
- 貧血の管理
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感染予防
- 手洗いの徹底
- 清潔な環境維持
- 傷口の適切な処置
6. 運動と生活習慣
推奨される運動:
- シャント肢の運動
- グーパー運動
- 軽いボール握り
- ストレッチ
避けるべき行動: ・シャント肢での血圧測定 ・シャント肢での採血 ・長時間の同じ姿勢 ・急激な運動
7. 緊急時の対応
緊急時の連絡先と対応:
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出血時
- 清潔なガーゼで圧迫
- 10分以上止血
- 止血困難な場合は即連絡
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シャント閉塞が疑われる場合
- すぐに医療機関に連絡
- 早期発見が重要
- 放置すると機能回復が困難
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感染が疑われる場合
- 発熱、発赤、腫れ
- 抗生剤投与が必要な可能性
- 早期受診が重要
当院では、【地域医療社会福祉連携室】を設け、患者様のサポートを医療面と福祉面療法でサポートしております。