透析患者と食塩:なぜ制限が必要か?
こんにちは。天王寺区の医療法人慈洋会赤垣クリニック院長、赤垣洋二です。腎臓病を抱える透析患者さんにとって、食塩の摂取制限は非常に重要なポイントです。今回は、透析患者さんがなぜ食塩を控えるべきなのか、その理由と注意点について解説します。
1. 腎臓の働きと食塩の関係
腎臓の主な役割は、血液中の老廃物や余分な水分を尿として体外に排出することです。また、腎臓は体内の電解質バランスを調整する役割も果たしています。その中でも、**ナトリウム(塩分)**は重要な電解質であり、体内の水分量や血圧の調整に深く関与しています。
腎臓が正常に機能していない透析患者さんは、腎臓のろ過能力が大幅に低下しているため、塩分を体外に排出することができなくなります。結果として、体内に過剰なナトリウムが溜まり、以下の問題が発生します。
2. 食塩過剰摂取による影響
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むくみや体重増加
食塩を過剰に摂取すると、体内のナトリウム濃度が上昇し、それに伴って水分も蓄積されます。これにより、むくみが生じやすくなり、体重が増加します。透析患者さんは、体重の急激な増加が血圧や心臓に負担をかけるため、非常に注意が必要です。 -
高血圧
ナトリウムが体内に溜まると、水分も増加し、血液量が増えてしまいます。これにより、血圧が上昇し、心臓や血管に大きな負担がかかります。透析患者さんは、すでに腎機能が低下しているため、心臓病や脳卒中のリスクが高く、塩分制限が一層重要です。 -
透析治療への影響
食塩を多く摂取して水分を溜め込むと、次回の透析までに除去すべき水分量が増えます。これが原因で、透析中に急激な血圧低下や体調不良が生じる可能性が高まります。また、透析後の疲労感が強くなることもあります。
3. 食塩の適切な摂取量
透析患者さんに推奨される食塩の摂取量は、1日5〜6グラム未満とされていますが、患者さんの病状や透析の頻度によって異なることもあります。通常の日本人の平均摂取量が10グラムを超えることが多い中で、この制限はかなり厳しいですが、体調管理のためには欠かせません。
4. 食塩制限の具体的なポイント
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調味料の工夫
食事に使う塩を控えるために、レモン汁や酢、香辛料を使って味付けを工夫すると、塩分を抑えつつ味に満足感を得られます。 -
加工食品に注意
塩分が多く含まれる加工食品(ハム、ソーセージ、漬物、スナック菓子)やインスタント食品は、できるだけ控えるようにしましょう。食品のラベルを確認して、塩分量をチェックすることも大切です。 -
水分摂取にも注意
食塩を摂りすぎると喉が渇きやすくなり、水分摂取量も増える傾向にあります。水分を過剰に摂取すると、透析で除去すべき水分量が増え、治療が難しくなることがあります。
5. 食塩制限のメリット
食塩を適度に制限することで、血圧の安定や心臓への負担軽減が期待できます。特に、心不全や高血圧などを防ぐことで、長期的な健康維持に寄与します。透析治療中のトラブルも軽減され、治療の効果が向上することが期待できます。
まとめ
透析患者さんにとって、食塩の摂取量を管理することは、健康管理の大きな柱となります。食塩の過剰摂取は、むくみや高血圧、透析治療への悪影響をもたらすため、適切な摂取量を守ることが重要です。食事の工夫や加工食品の選択に気をつけながら、医師や栄養士の指導を受けて、日常生活における塩分管理を心がけましょう。
透析治療に関して不安がある方や、食事についての具体的なアドバイスが必要な方は、ぜひ医師や栄養士に相談してください。