透析患者と動脈硬化:進行を防ぐために知っておくべきこと
こんにちは。天王寺区の医療法人慈洋会赤垣クリニック院長、赤垣洋二です。透析を受けている患者さんにとって、動脈硬化は無視できない深刻な合併症の一つです。腎臓が正常に機能しなくなると、血管に対するさまざまなリスクが高まり、動脈硬化の進行が早まることがあります。今回は、透析患者さんと動脈硬化の関係、リスク、そしてその予防についてお話します。
1. 透析患者における動脈硬化のリスク
動脈硬化とは、血管の内壁に脂質やカルシウムが沈着し、血管が硬くなったり狭くなったりする状態を指します。特に腎不全や透析治療を受けている患者さんは、以下のような理由から動脈硬化のリスクが高まります。
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高血圧
腎臓の働きが低下すると、血圧のコントロールが難しくなり、高血圧が持続することがあります。高血圧は血管に強い負荷をかけ、動脈硬化の進行を促進します。 -
カルシウムとリンのバランス異常
腎臓の機能が低下すると、体内のカルシウムやリンのバランスが崩れやすくなります。これが原因で、血管壁にカルシウムが沈着し、血管が硬くなる血管石灰化が生じ、動脈硬化が進行します。 -
脂質異常症
腎不全の患者さんは、血液中のコレステロールや中性脂肪のレベルが上昇しやすい状態にあります。これにより、動脈硬化を引き起こすリスクがさらに高まります。 -
炎症状態
透析患者さんは慢性的な炎症状態にあることが多く、これが血管の内壁を傷つけ、動脈硬化の原因となることもあります。
2. 動脈硬化が引き起こす問題
動脈硬化が進行すると、血管が狭くなり、心臓や脳に十分な血液が供給されなくなるため、心筋梗塞や脳卒中といった深刻な疾患が発生するリスクが高まります。また、血管が硬くなることで、血流が不十分になり、末端の組織が酸素不足に陥ることがあります。透析患者さんは、このような循環器系のトラブルを未然に防ぐために、動脈硬化の予防が特に重要です。
3. 動脈硬化予防のためのポイント
透析患者さんが動脈硬化を防ぐためには、以下の対策が有効です。
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血圧管理
高血圧は動脈硬化の大きな原因です。適切な血圧管理を行うことが、血管の健康を守るために重要です。医師の指導のもと、降圧薬の使用や食事の改善を進めることが推奨されます。 -
食事管理
コレステロールや中性脂肪を抑えるため、バランスの取れた食事が不可欠です。特に、飽和脂肪酸の摂取を控え、オメガ3脂肪酸が豊富な魚や野菜を中心とした食事を心がけましょう。また、カルシウムとリンのバランスを保つため、リンの多い食品の制限も重要です。 -
リンの管理
血液中のリンの過剰は、動脈硬化のリスクを高めます。リンを多く含む食品(例えば、加工食品や乳製品)の摂取を制限し、透析中のリン管理薬を適切に使用することが必要です。 -
禁煙・運動
喫煙は動脈硬化を促進する大きな要因です。禁煙を実行することが、心血管リスクを減らすために非常に重要です。また、適度な運動も血管の健康を保つのに役立ちます。透析患者さんの場合、医師の指導のもとで無理のない範囲で運動を取り入れましょう。 -
透析の質を保つ
定期的な透析を受けることで、老廃物や過剰な水分を効率的に除去し、血液のバランスを整えることが、動脈硬化の進行を防ぐ助けになります。
まとめ
透析患者さんにとって、動脈硬化は特に注意が必要な疾患です。高血圧やカルシウム、リンの異常、慢性的な炎症などが動脈硬化のリスクを高めるため、適切な管理が不可欠です。食事や運動、薬物療法を通じて動脈硬化を予防し、心臓や脳の健康を守ることが重要です。透析患者さんは、医師や栄養士と連携し、個々の状態に合わせた対策を講じるよう心がけましょう。