透析患者とカリウム:なぜ管理が必要なのか?|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

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透析患者とカリウム:なぜ管理が必要なのか?

こんにちは。天王寺区の医療法人慈洋会赤垣クリニック院長、赤垣洋二です。腎不全を抱える透析患者さんにとって、カリウム(K)の管理は非常に重要な課題です。カリウムは私たちの体内でさまざまな重要な機能を担っていますが、腎臓が十分に働かない場合には、過剰に蓄積してしまい、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。今回は、透析患者さんがなぜカリウムを制限する必要があるのか、その理由について解説します。

1. カリウムの役割と腎臓の働き

カリウムは、神経や筋肉、特に心臓の正常な働きを保つために必要なミネラルのひとつです。健康な腎臓は、血液中のカリウムを適切な濃度に保つために、余分なカリウムを尿として排出しています。しかし、腎機能が低下した透析患者さんは、この排出機能が著しく低下しているため、カリウムが体内に過剰に蓄積しやすくなります。

2. 高カリウム血症の危険性

カリウムが過剰に蓄積すると、高カリウム血症という状態になり、以下のような危険な症状を引き起こします。

  • 筋肉の脱力やしびれ

  • 不整脈や心臓の異常
    カリウムは心筋の電気的な活動を調整する役割を持っているため、過剰に蓄積すると心臓のリズムが乱れ、不整脈や心停止を引き起こすこともあります。

  • 息切れや疲労感
    血液中のカリウム濃度が高まると、全身の筋肉が正常に機能しなくなり、息切れや疲れやすさといった症状が現れることがあります。

透析患者さんは通常、定期的な透析によって血液中のカリウムを取り除きますが、透析の合間に食事で過剰なカリウムを摂取してしまうと、次の透析までの間にカリウム濃度が危険なレベルに達することがあります。

3. カリウムの管理が必要な理由

透析治療を受けている腎不全患者さんは、腎臓の機能が大幅に低下しているため、食事から摂取するカリウムが直接的に血液中に蓄積します。透析は老廃物を除去する手段ではありますが、すべてのカリウムを取り除くことができるわけではありません。そのため、食事でのカリウム摂取を管理することが必要になります。

4. カリウムを多く含む食品とその注意点

カリウムは多くの食品に含まれていますが、特に以下の食品は高カリウム食品として注意が必要です:

  • 果物(バナナ、メロン、オレンジ、アボカド、キウイ)
  • 野菜(ほうれん草、トマト、ジャガイモ、サツマイモ)
  • ナッツ類豆類
  • 乳製品(牛乳、ヨーグルト)

これらの食品は、透析患者さんにとって注意深くコントロールするべき食材です。とはいえ、完全に避けることは難しいので、カリウムを減らす工夫が必要です。

5. カリウムを減らすための工夫

カリウム摂取量を減らすための工夫としては、以下の方法があります。

  • 野菜を水にさらす
    野菜をカットした後、長時間水にさらすとカリウムが水に溶け出すため、野菜のカリウム含有量を減らすことができます。特にジャガイモやサツマイモなどの根菜類は、この方法でカリウムを大幅に減らせます。

  • 缶詰を利用する
    生の果物や野菜はカリウムが多く含まれていますが、缶詰の果物や野菜は加工の過程でカリウムが減少しているため、適量であれば摂取可能です。

  • 食事の量と頻度を調整する
    高カリウム食品を一度に大量に摂取するのではなく、少量ずつ分けて食べることで、体内のカリウム濃度が急激に上がるのを防ぎます。

6. カリウム管理の重要性

透析患者さんは、カリウムの管理を怠ると高カリウム血症に陥り、命に関わる状態になる可能性があります。そのため、定期的な血液検査でカリウム濃度をチェックし、食事内容を見直すことが重要です。また、医師や栄養士と相談し、個々の病状に合わせた食事管理を行うことが必要です。


まとめ

カリウムは体内で重要な役割を果たすミネラルですが、腎機能が低下している透析患者さんにとっては、その摂取量を厳密に管理することが不可欠です。高カリウム血症を予防し、心臓や筋肉への悪影響を防ぐために、食事からのカリウムをコントロールする工夫を行いましょう。もし不安がある場合は、医師や栄養士に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。