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こんにちは。四天王寺南門前にある内科クリニック、医療法人慈洋会赤垣クリニック院長、赤垣洋二です。
本日は、腎臓病が見つかるきっかけともなる【クレアチニン】についてご説明します。
クレアチニンとは何か
クレアチニンは、筋肉が動くためのエネルギーを使った後に発生する老廃物の一つです。この物質は体にとって不要であり、通常は尿として体外に排出されます。しかし、腎臓の機能が低下するとクレアチニンが体内に蓄積し、血液中の濃度が上昇します。このため、血液中のクレアチニン濃度を測定することで、腎臓の現在の機能状態を推測することが可能です。
クレアチニンが高くなる原因
クレアチニンが高くなる原因は、大きく分けて以下の3つのパターンに分類されます:
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生活習慣病(高血圧・糖尿病など)が原因
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免疫や遺伝の病気が原因
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筋肉量が多いなど腎臓に異常がない場合
どの原因に該当するかを特定するために、腎臓の詳細な採血、尿検査、エコー検査などを行います。
クレアチニンが高いときの症状
クレアチニンがわずかに高い場合、症状はほとんどありません。しかし、血液中のクレアチニン濃度が2.0–3.0mg/dl以上になると症状が現れます。この状態は、数年以内に透析が必要となるほど腎臓が悪化している可能性を示唆します。
主な症状には以下が挙げられます:
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むくみ
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貧血
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倦怠感
クレアチニンの異常を放置すると
腎臓は障害を受けても重症化するまで症状が現れない臓器です。そのため、多くの場合は採血や尿検査で異常が判明します。
症状がないからといって放置すると、病状が進行し、症状が出たときにはすでに手遅れになるケースも少なくありません。腎臓の機能は一度低下すると回復しないため、早期発見が非常に重要です。
クレアチニンが異常なときに行う検査
クレアチニン値だけでは腎機能の障害を正確に評価できないため、以下の検査を組み合わせて総合的に判断します。
eGFR
eGFRはクレアチニン値に加え、「年齢」「性別」を考慮した特別な計算式で算出されます。クレアチニン値の進化版とも言える指標で、60ml/min/1.73m²以下であれば腎臓病の可能性があります。
シスタチンC
筋肉量が多い方ではクレアチニン値が不正確になる場合があるため、シスタチンCという別の血液検査項目で補完します。シスタチンCは筋肉量の影響を受けず、より正確な腎機能評価が可能です。
尿タンパク
尿検査によっても腎臓の障害を調べることができます。特に尿タンパクが重要で、健康診断で行う簡易検査に加え、尿中のタンパク量を詳しく調べる必要があります。
腎臓エコー
腎臓のサイズや形状を確認し、障害の原因を追究します。エコー検査は痛みや被ばくの心配がない安全な検査で、腎機能評価に有用です。
クレアチニンを下げる治療・改善方法
一度低下した腎機能を回復させるのは難しいため、クレアチニンを下げるというよりも、これ以上上昇させないことが重要です。治療では以下の3つが鍵となります:
1. 食事療法
塩分摂取を適量に抑えることが中心です。管理栄養士の指導を受けながら行うのが望ましいです。
2. 運動療法
有酸素運動や筋力トレーニングを取り入れた腎臓リハビリテーションを実施します。これも専門家の指導を受けるのが理想的です。
3. 薬物療法
特に血圧と血糖値の管理が重要です。腎臓保護作用がある「RAS系阻害薬」や「SGLT-2阻害薬」を組み合わせて治療を行います。
医療機関を受診する大切さ
クレアチニンが高いと言われたら、躊躇せず医療機関を受診することをお勧めします。受診先としては腎臓内科が理想的ですが、地域に専門科がない場合は内科のクリニックでも構いません。
内科クリニックを選ぶ際は、「シスタチンC」「尿タンパク定量検査」「腎臓エコー検査」を実施している医療機関が望ましいです。
最後に
腎臓は沈黙の臓器と言われるほど、障害が進行しても症状が現れにくい臓器です。早期発見と適切な治療が腎機能低下を防ぐ鍵となります。クレアチニンが高いと言われたら、一日でも早く医療機関で検査を受け、専門家の指導のもとで対策を講じましょう。