腎臓病治療薬としての【フォシーガ】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

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赤垣だより

腎臓病治療薬としての【フォシーガ】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、もともと2型糖尿病の治療薬として開発されたSGLT2阻害薬ですが、近年では慢性腎臓病(CKD)の治療薬としても注目されている薬剤です。以下に、腎臓病に対するフォシーガの作用・適応・副作用などをわかりやすくまとめました。

💊 フォシーガとは?

【SGLT2阻害薬(ナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬)】に分類される飲み薬です。腎臓の尿細管で糖とナトリウムの再吸収を抑え、尿中に排出させることで血糖値を下げる作用があります。

しかしこの作用が、腎臓の負担を軽減し、糸球体の血圧を下げることで腎機能を保護する効果につながることがわかり、糖尿病がないCKD患者にも使用されるようになりました。

🧠 腎臓病に対する作用メカニズム

  • 尿細管での糖・ナトリウム再吸収を抑制
    → 糸球体内圧が下がり、腎臓のフィルター機能が保護される
  • 浸透圧利尿作用
    → 余分な水分・塩分を排出し、腎臓の負担を軽減
  • 炎症・線維化の抑制作用
    → 糸球体や尿細管の慢性炎症を抑え、腎機能の進行を遅らせる

📋 適応と使用条件

  • 糖尿病性腎症(2型糖尿病を伴うCKD)
  • 非糖尿病性CKD(IgA腎症など)にも保険適用あり(2021年より)
  • eGFRが25mL/min/1.73㎡以上の患者に使用可能
  • 透析中の患者には使用不可

⚠️ 主な副作用と注意点

副作用 内容と対策
脱水

利尿作用により水分が失われるため、水分補給が重要(ただし腎機能に応じて調整)

低血糖 単独では少ないが、他の糖尿病薬と併用時に注意
尿路感染・性器感染 糖が尿中に排出されることで細菌が繁殖しやすくなる
一時的な腎機能低下

服用初期にeGFRやクレアチニンが一時的に悪化することがあるが、継続で改善傾向あり

✅ フォシーガのメリット(腎臓病患者にとって)

  • 腎機能の低下速度を緩やかにする
  • タンパク尿の減少
  • 心不全の予防にも効果あり
  • 一部の患者では貧血改善効果も報告されている

🩺 使用時のポイント

  • 医師の指導のもとで開始・継続することが必須
  • 定期的な血液・尿検査で腎機能と副作用をチェック
  • シックデイ(発熱・嘔吐・食事が取れない日)には休薬が必要

🧩 まとめ:フォシーガは“腎臓を守る新しい選択肢”

フォシーガは、糖尿病治療薬としての枠を超え、腎臓病の進行を抑える新しい治療薬として注目されています。すべての腎臓病患者に適応されるわけではありませんが、尿蛋白がある方や腎機能がまだ保たれている方には有力な選択肢となります。