eGFRとは
こんにちは。四天王寺南門前にある内科クリニック、医療法人慈洋会赤垣クリニック院長、赤垣洋二です。本日のテーマは【腎臓の能力を示すeGFR】についてです。
eGFRは、あなたの腎機能が今どのくらいあるのかを示す値です。
要約して言えば、eGFRは腎臟の糸球体(フィルターのようなもの)が1分間で処理している血液量を示します。これは、腎臟が要らない物質と必要な物質を交換する責任を費やしているのかを判断する指標となります。
ただし、この説明ではわかりにくいので、大まかに「100%満点で今何点か」を示す値で、eGFRが60を切ると検査が必要と簡単に説明することもできます。
eGFRを放置すると
腎臟という臟器は、障害を受けても原則症状は出ません。
採血でこの eGFR を調べることでやっと腎臟が悪くなっていることがわかります。
1度悪くなった腎臟は回復しないので、早く見つけるのが望ましいです。
eGFRと腎機能のステージ
eGFRの値により、腎機能はステージ1から5の5段階に分けられます。
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ステージ1〜3:正常の状態か、遺伝的要因が考えられる辺界的な状態
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ステージ4〜5:腎臟機能の高い低下を示し、ステージ5になると透析が必要な状態
eGFRが低い原因
eGFRが低くなる原因は、主に下記の3パターンに分けられます。
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生活習慣病の悪化が原因(高血圧や糖尿病など)
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免疫や遺伝性の病毒が原因
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筋肉量などの体の違いで腎臟に異常はない場合
eGFRが低いと言われたときに行う検査
eGFRの値だけで腎臟の障害を検証するのは不十分です。腎臟の細かな状態を判断するため、下記のような採血や尿検査が行われます。
シスタチンC
クレアチニンの値は、筋肉量が多い人では不正確になりやすいです。
このため、さらに精確な採血項目として、シスタチンCを検査します。
尿タンパク
尿タンパクは腎臟からのSOSとして役立つ検査です。eGFRが低いときには必ず一緒に調べます。
健康診断などでは「マイナス」「1・+」「2・+」のような形式で結果が出ますが、さらに詳しくたンパク量を調べる必要があります。
尿潜血
eGFRが低く、尿タンパクと共に尿潜血が確認される場合、専門的な検査を行う必要があります。
腎臟エコー
腎臟のサイズや表面の状態を調べる検査です。
エコー検査は非身体上のため痛みも不要で、安全に行うことができます。
eGFRを上げる方法
大前提として、一度悪化した腎機能を改善することは出来ません。しかし、現在の状態を保持するための対策はあります。
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食事療法:塩分を減らすことが重要です。
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運動療法:穏やかな有酸積運動を実践します。
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薬物療法:RAS系阻御薬やSGLT-2阻御薬などを組み合わせます。
これらの実践は、専門の管理栄養士、運動の専門家、腎臓に詳しい主治医と相談をすることが望ましいです。
これら3つを組み合わせることで今まで下がっていたeGFRが下がらなくなったという患者さんも当院ではいらっしゃいます。
これを食べれば、腎機能が良くなる!みたいなものはなく、これらのサプリメントは医学的に怪しいものも多いので注意してください。
後回しにせず医療機関へ
腎臓が悪いと言われてドキッとされた方も多いと思いますが、仮に異常がある場合は早ければ早いほど負担が減るので、勇気を出して医療機関を受診することをお勧めします。
受診する診療科は、可能であれば腎臓内科のクリニックがよいと思います。
ただし、中々地域に腎臓内科のクリニックがないこともあるので、内科のクリニックでもよいかもしれません。
内科のクリニックで「シスタチンC」、「尿タンパクの定量検査」、「腎臓のエコー検査」などをやっている医療機関が望ましいです。
当院では専門的な血液検査や尿検査を行い、病態に応じて適切な治療を提案しております。