腎硬化症(じんこうかしょう)とは、高血圧などによって腎臓の血管が硬くなり、腎機能が徐々に低下していく病気です。日本では透析導入の原因疾患として第3位に位置しており、特に高齢者に多くみられます。
🧠 腎硬化症の原因
腎硬化症は主に以下の要因で発症します:
- 長年にわたる高血圧:腎臓の細小動脈に動脈硬化が起こり、血流が減少
- 加齢:血管の老化により腎臓の血管が硬化
- 生活習慣病:糖尿病・脂質異常症・喫煙などがリスクを高める
- 腎血管性高血圧:腎動脈の狭窄による二次性高血圧も原因となることがある
🔍 病型と進行
腎硬化症には2つのタイプがあります:
病型 | 特徴 |
良性腎硬化症 | ゆっくり進行。高血圧の経過中に腎機能が徐々に低下 |
悪性腎硬化症 | 急激に進行。高血圧緊急症などで腎障害が急速に悪化し、全身症状を伴う |
🩺 主な症状
初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると以下のような症状が現れます:
- むくみ、倦怠感、食欲不振
- 貧血、息切れ(尿毒症の症状)
- 高血圧に伴う頭痛・動悸・肩こり
- 悪性型では、嘔吐・けいれん・視力障害・意識障害など全身症状も
🧪 検査と診断
- 尿検査:軽度の蛋白尿(陰性の場合もある)
- 血液検査:クレアチニン・eGFRの低下、電解質異常
- 画像検査:腎臓の萎縮(超音波・CT)
- 眼底検査・心電図・心エコー:全身の動脈硬化の評価
- 腎生検:確定診断に用いるが、高齢者では行わないことも多い
💊 治療と予防
✅ 良性腎硬化症
- 血圧管理が中心:目標は130/80mmHg未満
- 生活習慣の改善:減塩(1日6g以下)、禁煙、適度な運動
- 降圧薬の使用:ARB・ACE阻害薬など腎保護作用のある薬剤
✅ 悪性腎硬化症
- 入院管理が必要:急激な血圧上昇に対して注射薬などで対応
- 全身管理:心不全・脳血管障害などの合併症にも注意
✅ まとめ:腎硬化症は“静かに進行する高血圧性腎障害”
腎硬化症は、高血圧の管理が不十分なまま長期間続くことで腎臓が傷つき、やがて腎不全に至る病気です。初期には症状が乏しいため、定期的な血圧・尿・腎機能のチェックが重要です。生活習慣の見直しと早期治療によって、透析への進行を防ぐことが可能です。