糖尿病と腎臓病には、非常に深い関係があります。糖尿病は単なる血糖の病気ではなく、腎臓を含む全身の細小血管にダメージを与える病気であり、放置すると腎不全に至ることもあります。以下にその関係性をわかりやすく解説します。
🧠 糖尿病が腎臓に与える影響とは?
糖尿病では、血糖値が高い状態が続くことで、腎臓の糸球体(血液をろ過するフィルター)の細小血管が傷つきます。これにより、**糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)**という合併症が起こります。
糖尿病性腎症の進行ステージ
ステージ | 特徴 |
第1期(前期) | 糸球体の基底膜が厚くなり始めるが、尿検査では異常なし |
第2期(早期腎症期) | 微量アルブミン尿が出現(30mg/日以上) |
第3期(顕性腎症期) | 明らかな蛋白尿が出現し、腎機能が低下し始める |
第4期(腎不全期) | 腎機能が著しく低下し、むくみや倦怠感が現れる |
第5期(透析療法期) | 腎機能がほぼ失われ、透析が必要になる |
🔍 なぜ糖尿病で腎臓病になるのか?
- 高血糖による血管障害:糸球体の毛細血管が硬化し、ろ過機能が低下
- 過剰な濾過負荷:腎臓が血糖を処理しきれず、糸球体に過剰な負担がかかる
- 動脈硬化の進行:糖尿病は動脈硬化を促進し、腎臓の血流も悪化
- 炎症と酸化ストレス:慢性的な高血糖が腎臓組織に炎症を引き起こす
実際、透析導入患者の約半数は糖尿病が原因であり、糖尿病は腎不全の最大の原因疾患となっています。
🩺 早期発見のための検査とサイン
糖尿病性腎症は初期には自覚症状がほとんどありません。以下の検査が重要です:
- 尿検査(微量アルブミン・蛋白尿)
- 血液検査(クレアチニン・eGFR)
- 血圧測定(高血圧は腎症を悪化させる)
また、以下のような症状が出た場合は腎機能低下の可能性があります:
- 尿の泡立ち・量の変化
- 顔や足のむくみ
- 倦怠感・食欲低下
- 貧血・息切れ
✅ 糖尿病性腎症を防ぐための生活習慣
- 血糖値の厳格な管理(HbA1c 7.0%未満を目標)
- 塩分制限(1日6g未満)と蛋白質の適正摂取
- 高血圧の治療(ARBやACE阻害薬の使用)
- 禁煙・節酒・適度な運動
- 定期的な尿・血液検査によるフォローアップ
腎症の進行は、第2期までなら食い止めることが可能とされており、早期発見・早期対応が何よりも重要です。
🧩 まとめ:糖尿病は腎臓病の“静かな引き金”
糖尿病と腎臓病は、切っても切れない関係にあります。血糖値が高い状態が続くことで、腎臓は静かに傷つき、やがて透析が必要になることも。だからこそ、糖尿病と診断された時点で腎臓のケアを始めることが、未来の健康を守る鍵です。