睡眠時無呼吸症候群と心臓病の関係:放置できない危険なつながり
こんにちは、天王寺区の医療法人慈洋会赤垣クリニック院長の赤垣洋二です。当院で治療を行っている睡眠時無呼吸についてお話いたします。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に呼吸が一時的に停止したり、低下したりする状態です。この病気は、いびきをかくだけの単なる「寝相の問題」と思われがちですが、実際には心臓病と深い関係があることがわかっています。SASを放置していると、心血管系への悪影響が蓄積し、重篤な疾患を引き起こすリスクが高まります。ここでは、SASと心臓病の関係について詳しく解説します。
1. 睡眠時無呼吸症候群とは?
SASは、主に2つのタイプに分類されます。
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS):気道が閉塞することにより、呼吸が停止するタイプ。
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS):脳からの信号がうまく伝わらず、呼吸が停止するタイプ。
特に多く見られるのはOSASで、肥満や年齢の増加と共にリスクが高まります。SASの主な症状には、大きないびき、日中の強い眠気、集中力の低下が挙げられますが、それだけではありません。SASは体全体に負担をかけ、心臓に深刻な影響を与えることが知られています。
2. SASと心臓病の関係
SASが心臓病のリスクを高める仕組みには、いくつかの要因があります。
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夜間の酸素不足:無呼吸が発生すると、血液中の酸素が急激に減少し、心臓や血管に大きな負担がかかります。この繰り返しが、高血圧や不整脈を引き起こす原因となります。
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交感神経の過剰反応:無呼吸が発生するたびに体は「目覚めよう」として交感神経を刺激します。これが頻繁に起こると、心拍数や血圧が上昇し、慢性的なストレス状態が続くことで、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが増加します。
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高血圧との関連:無呼吸が続くと、血管の内壁にダメージが蓄積され、高血圧が進行します。実際、SAS患者の多くは高血圧を併発しており、血圧コントロールが難しくなることがあります。
3. SASが引き起こす心臓疾患のリスク
SASは、次のような心臓疾患を引き起こすリスクを高めます。
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高血圧:SAS患者の約70%が高血圧を抱えているとされています。特に、夜間の血圧が下がらないタイプの高血圧が多く、これがさらなる心疾患リスクの原因となります。
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心房細動(不整脈):無呼吸によって心臓のリズムが乱れるため、心房細動が発生しやすくなります。これは脳梗塞や心不全のリスクを高めます。
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心筋梗塞や狭心症:酸素不足と交感神経の過剰反応によって、心筋に負担がかかり、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)のリスクが増加します。
4. 適切な治療が重要
SASの治療によって、心疾患のリスクを大幅に軽減することができます。最も一般的な治療法は、CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)です。これにより、気道を広げて無呼吸を防ぎ、血圧や心臓への負担を軽減します。さらに、体重管理や生活習慣の改善も重要であり、特に肥満が関与する場合は減量が効果的です。
終わりに
**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**は、日中の眠気や集中力低下だけでなく、心臓に重大な影響を及ぼす病気です。SASを早期に発見し、適切な治療を行うことで、心臓病の発症リスクを大幅に減らすことができます。いびきがひどい、日中に強い眠気を感じるという方は、ぜひ医師に相談してみてください。