慢性腎不全の栄養学【水分・塩分】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

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赤垣だより

慢性腎不全の栄養学【水分・塩分】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

慢性腎不全では、塩分と水分の管理が腎機能の維持と合併症予防に直結する重要な栄養戦略です。腎臓のろ過機能が低下すると、余分な塩分や水分を排出しにくくなり、高血圧・むくみ・心不全・尿毒症などのリスクが高まります。

🧠 なぜ塩分・水分に注意が必要なのか?

🔹 塩分(ナトリウム)の影響

  • 塩分を摂りすぎると、体は濃度を薄めようとして水分を保持 → 体液量が増加し高血圧に
  • 高血圧は腎臓の糸球体を傷つけ、腎機能をさらに悪化させる
  • 塩分過剰 → 高血圧 → 腎障害 → さらに塩分排泄困難 → 高血圧悪化という負のスパイラルに陥る

🔹 水分の影響

  • 腎不全では水分の排泄能力が低下し、むくみ・肺水腫・心不全の原因に
  • 特に尿量が減っている場合は、水分制限が必要になることもある
  • 水分過剰は体重増加・血圧上昇・呼吸困難などを引き起こす

📊 推奨される摂取量の目安

項目 推奨量 備考
塩分 1日6g未満 外食・加工品に注意
水分 1日1,000〜1,500ml程度(個別調整) 尿量・体重・浮腫の有無で調整

🍳 調理法の工夫で塩分・水分をコントロール

✅ 減塩の工夫

  • 出汁・香味野菜・酸味・スパイスを活用して「薄味でも満足感」
  • 減塩調味料(減塩醤油・味噌・だしパック)を活用
  • 汁物は具だくさん&汁少なめ
  • 加工食品を避ける:ハム・ソーセージ・練り物・漬物などは塩分が多い
  • 味付けは後入れ・部分使い:全体に混ぜず、アクセントに使う

✅ 水分管理の工夫

  • 水分の多い食品に注意:果物・ゼリー・スープ・アイスなども水分としてカウント
  • 飲み物は小分けにして回数を分ける
  • 口の渇き対策:氷をなめる・レモン汁・ガム・口腔ケア
  • 体重測定で水分量を把握:前日比で±1kg以上は注意

✅調味料の工夫

調味料 工夫のポイント 注意点
減塩しょうゆ 小皿に分けて「つける」使い方が効果的 リン・カリウム含有量も確認
減塩味噌 味噌汁は具だくさん&汁少なめに 味噌漬けは避ける
酢・ポン酢 酸味で塩味を補う。冷奴・和え物に◎ 塩分入りのポン酢は表示確認
レモン汁・柚子果汁 爽やかな酸味で満足感UP 生果汁はカリウムに注意
香味野菜(しょうが・ねぎ・みょうが) 香りで味を引き立てる 生食はカリウム注意
スパイス(こしょう・七味・カレー粉) 少量で風味が広がる 塩分ゼロでも刺激強めに注意
ごま・ごま油 香ばしさで満足感UP 油分・カリウムに注意して量を調整
減塩だしつゆ 出汁で薄めて使うと風味が増す 市販品は添加物に注意

✅ まとめ:塩分・水分管理は“腎臓を守る生活習慣の柱”

慢性腎不全では、塩分と水分の管理が腎機能の悪化を防ぎ、合併症を予防する鍵です。調味料や食材の選び方、調理法の工夫を通じて、無理なく続けられる減塩・水分制限を実践しましょう。医療機関と連携しながら、個別に調整することが大切です。