慢性腎不全の栄養学【カリウム】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

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赤垣だより

慢性腎不全の栄養学【カリウム】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

慢性腎不全では、カリウムの摂取管理が命に関わるほど重要です。腎機能が低下すると、カリウムの排泄能力が落ち、高カリウム血症(血中カリウム濃度の上昇)を引き起こすリスクが高まります。これは不整脈や心停止などの重篤な症状につながる可能性があるため、食事療法によるカリウム制限と調理法の工夫が不可欠です。

⚠️ なぜカリウムに注意が必要なのか?

🔹 カリウムの役割

  • 細胞内液の主要な電解質で、筋肉の収縮・神経伝達・心臓のリズム調整に関与
  • 健康な腎臓は余分なカリウムを尿中に排出し、血中濃度を3.5〜5.0mEq/Lに保つ

🔹 腎不全で起こること

  • 腎機能が低下すると、カリウムの排泄が困難になり、血中に蓄積
  • 高カリウム血症(>5.5mEq/L)になると、筋力低下・しびれ・動悸・不整脈・心停止などの症状が出る可能性あり

📊 CKDステージ別のカリウム摂取目安

CKDステージ eGFR値 摂取目安(mg/日) 管理の重要度
G1〜G2 ≧60 制限不要 通常の注意でOK
G3a 45〜59 過剰摂取を避ける 意識し始める
G3b 30〜44 2,000〜2,500mg 注意が必要
G4 15〜29 1,500〜2,000mg 重要
G5 <15 1,500mg以下 最重要

🍳 カリウムを減らす調理法の工夫

調理法 カリウム減少率 ポイント
水にさらす 10〜20% 根菜類を小さく切り、30分以上水にさらす。水は交換する
下ゆで(ゆでこぼし) 30〜50% 野菜・芋類を多めの湯で5〜10分ゆでて湯を捨てる
二次調理(煮物・炒め物) 40〜60% 下ゆでした食材を使用。ゆで汁は使わない
缶詰の活用 10〜30% シロップや水を捨てて使用。ただし塩分に注意

カリウムは水溶性ミネラルなので、調理によって減らすことが可能です。

✅ じゃがいもなどの高カリウム食材の工夫

  • 皮をむいて5mm角に切る
  • 水に30分以上さらす(途中で水を交換)
  • 多めの湯で10分以上ゆでて湯を捨てる
    → 約40〜50%のカリウム除去が可能

🥗 カリウムが多い食品と注意点

食品 カリウム量(目安) 注意点
バナナ(1本) 約360mg 生食は避ける
じゃがいも(中1個) 約630mg 下ゆで必須
ほうれん草(70g) 約490mg 茹でこぼし推奨
トマトジュース(200ml) 約520mg 飲料は特に注意
納豆(1パック) 約300mg 頻度を調整

✅ まとめ:カリウム管理は“心臓を守る栄養戦略”

慢性腎不全では、カリウムの過剰摂取が不整脈や突然死のリスクにつながるため、食材選び・調理法・摂取量の管理が極めて重要です。完全に避けるのではなく、調理によって減らす工夫をしながら栄養バランスを保つことが理想です。医師や管理栄養士と連携しながら、個別に調整していきましょう。