目次
慢性腎臓病(CKD)とeGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎機能の評価と病期分類において密接に関係しています。以下にその関係性を詳しく解説します。
🧠 eGFRとは?
eGFR(estimated Glomerular Filtration Rate)は、腎臓の糸球体が1分間にどれだけ血液をろ過できるかを推定した値で、腎機能の指標として使われます。
- 単位:mL/分/1.73㎡(体表面積で補正)
- 計算式:年齢・性別・血清クレアチニン値から算出
- 正常値:おおよそ90〜120 mL/分/1.73㎡(加齢で自然に低下)
🔍 慢性腎臓病(CKD)とは?
CKDは、腎機能が低下した状態が3ヶ月以上持続する病気で、以下のいずれかで診断されます:
- eGFRが60未満
- 尿異常(蛋白尿・血尿など)や画像・病理異常がある
📊 CKDのステージ分類(eGFRによる)
ステージ | eGFR(ml/min/1.73㎡) | 腎機能の状態 |
G1 | ≧90 | 正常または高値(異常所見がある場合のみCKD |
G2 | 60〜89 | 軽度低下(異常所見がある場合のみCKD) |
G3a | 45〜59 | 軽度〜中等度低下 |
G3b | 30〜44 | 中等度〜高度低下 |
G4 | 15〜29 | 高度低下(腎不全前段階) |
G5 | <15 | 末期腎不全(透析や腎移植が必要な可能性) |
※GFRが60未満で、3ヶ月以上持続するとCKDと診断されます。
🩺 eGFRが低下するとどうなる?
- 老廃物の排出が不十分になり、**尿毒症症状(倦怠感・吐き気・むくみなど)**が出る
- 高血圧・貧血・骨代謝異常などの合併症が起こりやすくなる
- 心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中)のリスクが上昇
- 進行すると透析や腎移植が必要になることも
✅ eGFRを維持するためのポイント
- 血圧・血糖・脂質の管理(特に糖尿病・高血圧のある方)
- 塩分制限(1日6g未満)と適度な水分摂取
- 禁煙・節酒・運動習慣の確立
- 定期的な尿検査・血液検査で早期発見・早期対応
🧩 まとめ:eGFRは“腎臓の健康を映す鏡”
eGFRは、腎臓のろ過能力を数値化したもので、慢性腎臓病の診断・進行度評価・治療方針の決定に不可欠な指標です。健康診断でeGFRが60未満だった場合は、放置せず医療機関での精密検査と生活習慣の見直しが重要です。