慢性腎不全(CKD)において、CAVI(心臓足首血管指数)検査は動脈硬化の進行度を評価する重要なツールです。腎機能の低下は動脈硬化を促進し、逆に動脈硬化が腎臓の血流を悪化させるため、CAVI検査は腎臓と血管の健康状態を同時に把握する“心腎連関”の指標として注目されています。
🧠 CAVI検査とは?
CAVI(Cardio-Ankle Vascular Index)は、心臓から足首までの動脈の硬さ(血管の弾力性)を数値化する検査です。血圧の影響を受けにくく、動脈硬化の進行度を客観的に評価できるのが特徴です。
- 測定方法:両腕・両足首に血圧計と心電図・心音センサーを装着し、約5〜10分で測定
- 正常値:CAVI ≦ 8.0(8.0以上は動脈硬化の疑い)
🔍 慢性腎不全とCAVIの関係
✅ CKDは動脈硬化を促進する
- CKDでは高血圧・脂質異常・糖尿病・炎症・酸化ストレスが併発しやすく、これらが動脈硬化を加速
- 腎機能が低下すると、血管内皮機能が障害され、CAVI値が上昇する傾向
✅ CAVIは腎機能低下を反映する
- eGFR(推算糸球体ろ過量)が低下するほど、CAVI値が高くなるという研究報告あり
- 特に**G1(eGFR≧90)〜G3(eGFR<60)**の間でCAVIは鋭敏に変化し、腎機能の早期変化を捉える指標として有用
✅ 動脈硬化と腎機能の悪循環
- 動脈硬化 → 腎血流低下 → 腎機能悪化 → さらに動脈硬化進行
- CAVI検査はこの悪循環の早期発見と介入のタイミング判断に役立つ
📊 CAVIと腎機能の相関(研究より)
腎機能分類(eGFR) | CAVI値の傾向 | 意義 |
G1(≧90) | 低値(≦7.5) | 血管柔軟性あり |
G2(60〜89) | 中間値(7.5〜8.5) | 軽度硬化の兆候 |
G3(<60) | 高値(≧8.5) | 動脈硬化進行・腎機能悪化の可能性 |
※CAVIは腎機能分類を鋭敏に反映する指標とされ、stiffness βやIMTよりもeGFRとの相関が強いと報告されています。
✅ まとめ:CAVI検査は“腎臓と血管の健康をつなぐ橋”
慢性腎不全では、腎機能の低下と動脈硬化が相互に悪化を促す関係にあるため、CAVI検査によって血管の硬さを定量的に評価することは、腎疾患の予防・治療・予後管理において極めて重要です。特に透析導入前の患者では、CAVI値の変化が腎機能悪化の予兆となる可能性があるため、定期的な測定が推奨されます。