慢性腎不全(CKD)において、腎臓超音波検査(腎エコー)は腎機能の状態を視覚的に評価できる重要な検査です。血液検査や尿検査ではわからない、腎臓の形態的変化や構造異常を非侵襲的に確認できるため、診断・経過観察・合併症の評価に広く活用されます。
🧠 腎臓超音波検査とは?
腎臓超音波検査は、体表から超音波を当てて腎臓の構造を画像化する検査です。痛みや放射線被曝がなく、10〜20分程度で終了する安全な検査として、CKD患者に繰り返し実施できます。
🔍 検査でわかること
評価項目 | 意義 |
腎臓の大きさ・形 | 萎縮(腎長径の短縮)は慢性腎不全の進行を示唆 |
腎実質の厚み・輝度 | 腎皮質の菲薄化や輝度上昇は腎硬化や線維化の兆候 |
腎盂・腎杯の拡張 | 水腎症や尿路閉塞の可能性 |
嚢胞・腫瘍・結石 | 腎嚢胞・腎細胞癌・腎結石の早期発見 |
左右差 | 腎血管性高血圧や片側性疾患の評価 |
血流(ドップラー) | 腎動脈狭窄・腎内血流の低下・抵抗指数(RI)による腎機能評価 |
🩺 慢性腎不全との関係
✅ 腎機能低下に伴う形態変化
- 腎臓は進行するにつれて萎縮し、腎実質が菲薄化
- 中心エコー帯(CEC)が不明瞭になり、腎皮質の輝度が上昇する傾向
- 末期腎不全では腎長径が10cm未満になることもある
✅ 合併症の評価
- 後天性嚢胞性腎疾患(ACDK):透析患者に多く、腎嚢胞が多数形成される
- 腎動脈狭窄:高血圧の原因となり、ドップラーで血流速度や抵抗を評価
- 腎盂拡張(水腎症):尿路閉塞による腎後性腎不全の早期発見に有用
✅ まとめ:腎臓超音波検査は“腎機能の鏡”
腎臓超音波検査は、慢性腎不全の進行度や合併症を視覚的に捉えることができる重要な検査です。血液検査だけでは見逃されがちな構造異常や腫瘍・結石・血流異常を早期に発見し、透析導入の判断や治療方針の決定に役立ちます。