慢性腎不全と検査【睡眠時無呼吸検査】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

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赤垣だより

慢性腎不全と検査【睡眠時無呼吸検査】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

慢性腎不全(CKD)と睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、互いに悪影響を及ぼし合う「心腎肺連関」の一部として注目されている疾患群です。特に、睡眠時無呼吸検査は腎機能の進行予測や合併症管理において重要な役割を果たします。

🧠 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

SASは、睡眠中に呼吸が断続的に停止(無呼吸)または浅くなる(低呼吸)状態が繰り返される病気です。主に以下の2タイプがあります:

  • 閉塞性SAS(OSA):気道の閉塞による呼吸停止(最も一般的)
  • 中枢性SAS:脳の呼吸中枢の異常による呼吸停止(心不全や透析患者に多い)

🔍 検査の意義:なぜCKD患者に必要なのか?

✅ 高頻度で併存する

  • 保存期CKD患者の約30〜50%がOSAを併発しているとされ、透析患者ではさらに高率
  • SASは腎機能の進行・心血管疾患・死亡率の上昇と関連

✅ 腎機能への影響メカニズム

メカニズム 腎臓への影響
① 低酸素状態 睡眠中の断続的な低酸素が腎組織にストレスを与え、糸球体障害を促進
② 交感神経活性化 血圧上昇 → 腎血管障害 → CKD進行
③ 炎症・酸化ストレス 活性酸素種の増加 → 尿細管障害・アルブミン尿の増加
④ 夜間高血圧 睡眠中の血圧変動が腎血流を不安定にし、腎機能低下を促進

🩺 睡眠時無呼吸検査の種類と特徴

検査方法 特徴 CKD患者への適応
簡易検査(在宅) パルスオキシメーター・鼻カニューラ・体動センサーなどで睡眠中の呼吸を記録 透析施設や自宅で実施可能。スクリーニングに有用(当院はこちらで検査を実施)
終夜ポリソムノグラフィー(PSG) 脳波・眼球運動・筋電図・呼吸・心拍などを総合的に評価 精密診断に最適。中枢性SASの鑑別にも有効
アクチグラフ+酸素飽和度測定 長期間の睡眠パターンと酸素変動を記録 研究的評価や在宅モニタリングに活用

⏳ 透析導入前と導入後の意義

✅ 導入前

  • 高血圧・アルブミン尿・腎機能低下の進行因子としてSASを評価
  • 生活習慣病との関連を把握し、予防的介入(CPAP療法など)を検討

✅ 導入後

  • 中枢性SASの頻度が上昇(特に心不全合併例)
  • 透析中の体液変動が呼吸調節に影響
  • CPAP療法が心血管イベントの抑制に寄与する可能性あり

✅ まとめ:睡眠時無呼吸検査は“腎臓を守る夜間のセンサー”

慢性腎不全では、睡眠時無呼吸症候群が腎機能の進行・心血管合併症・生活の質に深く関与しており、早期発見と治療が予後改善につながることが明らかになっています。簡易検査から始めて、必要に応じて精密検査へと進めることで、CKD患者の包括的な管理が可能になります。