慢性腎不全と検査【12誘導心電図】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

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赤垣だより

慢性腎不全と検査【12誘導心電図】|赤垣クリニック|大阪市天王寺区の人工透析クリニック

🧠 12誘導心電図とは?

12誘導心電図は、心臓の電気的活動を12方向から記録する検査で、心筋の状態や不整脈、虚血、肥大などを評価できます。検査は数分で終わり、非侵襲的かつ簡便で、腎疾患患者の心血管リスク評価に広く用いられています

🔍 慢性腎不全と心電図異常の関係

CKD患者では、以下のような心電図異常が出やすくなります:

✅ 電解質異常による変化

  • 高カリウム血症:T波の増高、QRS延長、徐脈、心停止のリスク
  • 低カルシウム・低マグネシウム:QT延長、不整脈の誘発

✅ 心筋肥大・虚血

  • 高血圧・貧血・体液過剰により左室肥大(LVH)やST-T変化が出現
  • QTc延長・心拍数上昇は心血管死亡の予測因子とされる

✅ 心腎連関(Cardiorenal Syndrome)

  • 腎機能低下が心臓の構造・機能に影響し、逆に心不全が腎機能を悪化させる
  • 心電図はこの連関の早期兆候を捉えるツールとして有用

📊 12誘導心電図で評価される項目と意義

項目 意義
心拍数(HR) >100bpmは心血管死亡リスク上昇
PR間隔 房室伝導障害の評価
QRS間隔 心室内伝導障害・心室肥大の指標
QTc間隔 延長は不整脈・突然死のリスク
ST-T変化 心筋虚血・電解質異常の兆候
左室肥大(LVH) 高血圧・体液過剰の反映

🩺 検査の意義(CKD患者において)

  • 心血管疾患の早期発見:心筋梗塞・狭心症・不整脈の兆候を捉える
  • 透析導入前後の心機能評価:透析中の電解質変動による不整脈リスクを把握
  • 予後予測:QTc延長や心拍数上昇は独立した死亡リスク因子
  • 治療方針の決定:薬剤調整・ペースメーカー適応などの判断材料に

✅ まとめ:12誘導心電図は“腎臓と心臓をつなぐ診断の窓”

慢性腎不全では、腎機能の低下が心臓に影響を及ぼし、心血管疾患のリスクが高まるため、12誘導心電図による定期的な評価が不可欠です。特に透析導入前後では、電解質異常や心拍変動が起こりやすく、心電図は予後管理と治療方針の決定に役立つ重要な検査です。