微小変化型ネフローゼ症候群(Minimal Change Nephrotic Syndrome:MCNS)とは、腎臓の糸球体に目立った構造異常がないにもかかわらず、大量の蛋白尿が出るネフローゼ症候群の一種です。主に小児に多く見られますが、成人にも発症することがあります。
🧠 特徴と病態
- 光学顕微鏡では異常が見られないため「微小変化型」と呼ばれます
- 電子顕微鏡で糸球体上皮細胞の足突起の消失が確認されることで診断されます
- 原因は不明ですが、T細胞の免疫異常が関与していると考えられています
- 小児ネフローゼ症候群の約80%、成人の一次性ネフローゼ症候群の約40%を占めます
🔍 主な症状
- 急激な浮腫(むくみ):顔・足・腹部などに水分がたまる
- 体重増加:数日で数kg増えることも
- 尿の泡立ち:高濃度の蛋白尿による
- 低タンパク血症・高コレステロール血症
- 通常、血尿や高血圧は伴わないのが特徴
🧪 検査と診断
- 尿検査:選択性の高いアルブミン中心の蛋白尿
- 血液検査:低アルブミン血症、脂質異常
- 腎生検:成人では診断のために行うことが多い
→ 光学顕微鏡では正常、電子顕微鏡で足突起の消失を確認
💊 治療法
✅ ステロイド療法(第一選択)
- プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドが有効
- 小児では90%以上、成人でも60〜90%が完全寛解に至る
✅ 再発時・難治例
- 免疫抑制剤(シクロスポリン、リツキシマブなど)を追加
- 利尿薬:浮腫の対症療法
- アルブミン製剤:低タンパク血症による循環不全に対して使用
✅ 食事療法
- 減塩・低タンパク食が基本(ただし小児では制限しないことも)
⚠️ 注意点
- 再発率が高い:特に小児では風邪などの感染をきっかけに再発しやすい
- 定期的な尿検査・体重測定が重要
- 風邪や発熱時は早めの受診が推奨されます
✅ まとめ:微小変化型ネフローゼは“治るが再発しやすい”病気
微小変化型ネフローゼは、ステロイド治療に反応しやすく、腎不全に進行することはまれですが、再発しやすく長期的な管理が必要な病気です。特に小児や若年成人に多く、早期発見と適切な治療が予後を左右します。