冬に腎臓病のリスクが高まる理由
こんにちは。四天王寺南門前の内科クリニック、医療法人慈洋会赤垣クリニック院長、赤垣洋二です。
冬は腎臓にとって厳しい季節です。寒さによる血圧の変動や感染症の流行、水分摂取の不足などが複合的に腎臓への負担を増大させます。以下では、腎臓病リスクのメカニズムを詳しく解説し、予防策を提案します。
1. 冬の血圧変動と腎臓病の関連
寒さによる血管の収縮
気温が低下すると、体温を維持するために血管が収縮し、血圧が上昇します。腎臓は血液をろ過する臓器であり、高血圧は腎臓の毛細血管を傷つけ、腎機能を低下させる主要な原因です。
暖房による急激な温度変化
暖房の効いた部屋から寒い外に出た際の急な温度変化は血圧の急上昇を招き、腎臓へのダメージを増幅させます。
2. 冬場の脱水と腎臓
水分不足の背景
寒いと喉の渇きを感じにくくなり、水分摂取量が減少します。また、暖房の使用によって皮膚や呼吸から知らず知らずのうちに水分が失われます。
腎臓への影響
体内の水分が不足すると血液が濃縮され、腎臓がろ過する負担が増します。この状態が続くと、急性腎障害を引き起こすリスクが高まります。
3. 感染症の流行と腎臓病
冬に増える感染症
インフルエンザ、新型コロナウイルス、肺炎などの感染症は、特に腎機能が低下している人に重症化リスクを伴います。感染そのものや抗生物質の使用が腎臓に負担をかけることがあります。
透析患者のリスク
透析患者は免疫力が低下しているため、これらの感染症にかかりやすく、また回復にも時間がかかります。
4. 食生活の影響
冬の高塩分食
冬は鍋料理や漬物など塩分が多い食品を摂取しがちです。塩分の過剰摂取は高血圧の原因となり、腎臓病の悪化を招きます。
冬場の腎臓病予防策
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血圧管理
- 毎日同じ時間帯に血圧を測定し、記録をつけましょう。
- 血圧が高めの場合、医師に相談し治療計画を見直すことが大切です。
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適切な水分補給
- 1日に1.5~2リットルの水分を意識的に摂取しましょう(透析患者は医師の指示に従ってください)。
- 温かいスープやお茶などで水分を補給すると体も温まります。
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感染症対策
- ワクチン接種(インフルエンザ、新型コロナウイルス)を検討しましょう。
- 手洗い、うがい、マスクの着用を徹底してください。
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食事の見直し
- 塩分を控えた食事を心がける。
- 野菜や果物を積極的に取り入れることで免疫力を高めましょう。
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防寒対策
- 外出時は防寒具をしっかり着用し、特に足元を冷やさないようにしましょう。
- 部屋の温度は適切に保ち、急な温度変化を避ける工夫を。
まとめ
冬の寒さや生活習慣の変化は、腎臓病リスクを高める要因となります。しかし、日常生活の中で適切な対策を講じることで、腎臓への負担を軽減し、健康を維持することが可能です。体調に不安がある場合は早めに医師に相談し、適切な診察や治療を受けましょう。